『万葉集』中、をよむ歌 
 

→マキスギ


長歌

 ・・・ かづしかの(葛飾)の 真間の手児奈(てごな)が 奥つきを 此間(ここ)とは聞けど
 真木の葉や 茂りたるらむ 松が根や 遠く久しき 
 言のみも 名のみも吾は 忘らゆまじ
      
(3/431,山部赤人。勝鹿の真間の娘子(をとめ)の墓を過ぎて)

 ・・・ 隠口
(こもりく)の 泊瀬(はつせ)の山は 真木立つ 荒山道を ・・・
      
 (1/45,柿本人麻呂)
 ・・・ 真木立つ 不破山越えて ・・・
       
(2/199,柿本人麻呂)
 ・・・ み吉野の 真木立つ山ゆ 見降せば 川の瀬毎に ・・・
      
 (6/913,車持千年。ほかに、13/3291)

 ・・・ 持ち越せる 真木の嬬手を 百足らず いかだに作り ・・・
(1/50,読人知らず)
 ・・・ 績麻
(うみを)なす 長柄(ながら)の宮に 真木柱 太高(ふとたか)敷きて
 食国
(をすくに)を 治め賜へば ・・・(6/928,笠金村)
 


短歌

 真木の上に ふり置ける雪の しくしくも 念ほゆるかも さ夜問え吾が背
      
(8/1659,他田広津娘子)
 ひだ
(飛騨)人の 真木流すとふ にふ(丹生)の川 ことは通へど 船そ通はぬ
      
(7/1173,読み人知らず)
 真木の葉の しなふ勢の山 しのはずて 吾が越えぬるは 木の葉知りけむ (3/291,小田事)
 奥山の 真木の葉凌ぎ ふる雪の ふりは益すとも 地に落ちめやも
(6/1010,橘奈良麿)
 安太へゆく 小為手
(をすて)の山の 真木の葉も 久しく見ねば 蘿(こけ)生しにけり
      
 (7/1214,読人知らず)
 しぐれの雨 間無くし零
(ふ)れば 真木の葉も 争ひかねて 色づきにけり
      
(10/2196,読人知らず)
 皇
(おおきみ)は 神にし坐せば 真木の立つ 荒山中に 海を成すかも (3/241,柿本人麻呂)
 真木柱 太き心は 有りしかど 此の吾が心 鎮めかねつも (2/190,日並皇子の宮の舎人)
 まけ
(真木)はしら(柱) ほ(讃)めてつく(作)れる との(殿)のごと(如)
     いませはは
(母)刀自 おめ(面)かは(変)りせず (20/4342,坂田部首麿)
 真木柱 作るそま人 いささめに 借廬
(かりほ)の為と 造りけめやも (7/1355,読人知らず)
 奥山の 真木の板戸を 押し開き しえや出で来ね 後は何せむ
(11/2519,読人知らず)
 奥山の 真木の板戸を 音速み 妹があたりの 霜の上に宿
(ね) (11/2616,読人知らず)
 


枕詞「まき(真木)さく」(檜・ヒにかかる。一説に 「真木割く」の意で、ヒノキを裂くのに「ひ(割れ目)」を入れて楔を打つことから、一説に「真木栄く」の意で、ヒノキを称える意。)

 ・・・真木さく 檜の嬬手(つまで)を・・・(1/50,読人知らず)
 



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